カウンセラーへのよくある誤解

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心理カウンセラーはまだまだ認知度が低い

心理士として仕事をしてから私自身まだ約4年(2022年9月現在)しか経っていませんが、

その中でも心理士という仕事はまだ日本においてポピュラーではないのだなと痛感します。

他の仕事よりも明らかに、心理士という仕事が一体何をするものなのかが認知されていないと感じます。

そしてこの認知度の低さによって、心理カウンセリングが心の悩みを抱えている人に届きにくくなっているとも感じられます。
(*認知度の低さ意外にも、心理カウンセリングへの偏見や経済的問題、病態水準による適・不適など様々なハードルが存在しますが・・・)

ここでいう心理士とは、
①臨床心理士や公認心理師の資格を取得して、
②学校や企業、医療機関や福祉機関、開業カウンセラーなど様々な分野で心理カウンセリング業務に携わっている者
とします。

確かに、今では様々な分野で活躍する心理士ですが、「心理士とは何をする者か?」が分からない多くの人にとって、カウンセリングを受ける前に立ちふさがるハードルを拭いきれていません。

ここでは、私が今までに見てきた様々な心理士への誤解を挙げるとともに、心理士の役割についてあらためて述べていきたいと思います。

実際にあった心理士への誤解例

実際にあった心理士という仕事に対する誤解をいくつか紹介します。

今から挙げるのはあくまでも極端な誤解の例であり、すべての人がここまで大きな誤解をしているとは認識していません。

誤解① 「メンタリストみたいなものでしょ?」

TVなどで活躍しているメンタリストと名乗る人がいますね。

例えば、いくつかの種類の物の中から相手が何を選んでいるのかを、

視線や表情、行動パターン、正確、質問に対する反応などから心理的背景を読み取り、

実際に選んだ物を当てるというパフォーマンスで有名ですね。

「メンタリストみたいなものでしょ?」という誤解は、私が今まで受けた中でも最も大きな誤解でしたが、それだけに衝撃的でした。

この疑問を抱かれていた方は、心理カウンセリングを受けることとはおよそ無縁な方であり、全く心理カウンセラーについての知識がなかったのだと思います。

おそらく、周囲の身近な人にも、カウンセリングを受けている人はいなかったのでしょう。
(いても知らなかっただけかもしれません)

確かに、心理カウンセリングの中でも、クライアントの心理分析をすることは重要です。

細かな表情の変化や、報告される出来事や行動から、クライアントがどのような気持ちになったのかなどを察することはこの仕事の基本的部分です。

しかし、メンタリストと大きく違うのは、

その時相手がどう思っていたのかを当てることが目的ではない

というところにあります。

それどころか、心理カウンセラーは時に、相手のことを分かったつもりでいると危険なことも多々あります。

心理カウンセラーに求められるのは、「聞く力」です。

相手のことが分かっていても、分かっていなくても、どこまでも聞いていくことが求められます。その過程で、自然に相手のことが分かってくるということが起こり得ます。

誤解② 「介護関係の仕事でしょ?」

この疑問も、最初に言われたときは耳を疑いました。

そのように捉えている人もいるのだと。そして、このセリフを言ったのは、私のごくごく身内の人だったことがさらに衝撃的でした。

介護施設にて働く心理士もいると思いますが、介護士と心理士はもちろん異なります。

思うに、この疑問を私に放った人は、「心理カウンセリングに相談に来る人は皆障害者」であり、「障害者とはすなわち介護が必要な人達である」という思考を持っていたと思われます。

もちろん、これは大きな誤解です。

このセリフは極端な例かもしれませんが、多かれ少なかれ、これと同じような、精神疾患に対する偏見はまだまだ世間には蔓延しているものと思われます。

そして、悩み事を抱える人の一部が「恥ずかしいから」カウンセリングを受けることが出来ないことの一因になっているとも考えられます。

やはり、日本はまだまだ精神疾患に対する知識が普及しておらず、心理カウンセリングを誰もが選択肢に入れることが出来ない状況にあるのだと痛感します。

もちろん、心理カウンセリングをあまり「気軽なもの」として捉えることも危険ですが、「恥ずかしいもの」と捉えられることは、悩みに向き合い、解決のために進んでいくための貴重な機会を損なっていると感じられます。

誤解③ 「心が読めるんでしょ?」

この誤解は、上記2つと比べればまだかわいいものかもしれませんね。

私も、学生時代に〈心理学を学んでいます〉と世間話をすると、決まって「え~、じゃあ人の心読めるの?」と言われました。

心理学を学んでも、人の心など読めません。

ただし、心理カウンセリングをする中で、クライアントその人が感じているのにより近い感情を感じることはあります。

〈ああ、この人はこの時、こんなに悲しかったんだ〉と。

人の心が読めなくとも、心理カウンセリングは出来ます。

目の前にいる悩みを抱えて相談に来た人の、その人なりの大変な体験を聞き、その人を理解したい、なんとか話を聞いて少しでもお役に立てないだろうか?

と、そういう姿勢が最も必要なのであって、テレパシーや超能力の類いは必要ありません。
・・・あったら便利だなあとは思いますが。

それに、「人の心が読める」って、一体全体どういうことでしょうか?よくよく考えたら、それもよく分かりませんね。

なぜなら、人の心が読めているということは、どうやっても証明しようがありません。

一々、〈あなたは今「~」と考えていますね?〉と確認でもするのでしょうか?

そして、それが仮に当たっていたとして、それが一体何になるというのか。

考えていることが読めることと、人の気持ちを理解することとは必ずしも同じではないということを、この仕事を通じてより強く思うようになりました。

人の気持ちを理解するには、本当に十分に聞く必要があるんです。

誤解④ 「占い師とどう違うの?」

占い師は、物事や人の動きに関して吉凶を予測することが仕事です。そのために、タロットや手相、易などの様々な方法があります。

ということは、占いは、全ての物事には「吉」や「凶」などの運勢があるという前提に基づいているということです。運勢という目には見えないものを数字や形、カードの配置など様々な所から「兆し」を読み取って、その解釈を説明するわけです。

もちろん占いは、当たることもあれば当たらないこともあります。

しかしその本質は、占いに来た人が満足するかどうかです。納得するかどうか、腑に落ちるかどうかにあります。

心理カウンセラーとの共通点があるとすれば、来た人(お客さん、クライアント)がカウンセリングや占いを受けることによって、「新たな発見や気づきを得られること」や「今後の行動決定のための勇気をもらえること」などが挙げられると思います。

共通点もありますが、もちろん、心理カウンセリングと占いとは全く異なるものです。

まず、心理カウンセリングでは、必ずしもクライアントにアドバイスすることを重視しません。

〈こうすれば良いのに〉と心の中で思っていても、それをあえて言わないことも多いです。

カウンセリングでは、必ずしも誰かを「導く」ようなことをしません。

カウンセリングとは聞くことです。

十全に聞き、満遍なく聞き、クライアントの理解に努めます。クライアントの理解が即、クライアントの満足体験(要するに「話して良かった」という体験)につながります。良いカウンセリングではそれが起こり得ます。

さらに、先ほど占いでは「吉凶を予測する」と述べましたが、カウンセリングでは吉凶についてほとんど考えることがありません。

クライアントの体験を良いとか悪いとかに分類せずに、その良い体験・悪い体験がクライアントにとってどのような意味を持っていて、今後その体験をどのように生きていくのか?
といったことを一緒に考えたりします。

他にも様々な相違点はありますが、ざっくりと説明するとこんなところです。

補足:類似点の見られる職業、シャーマンについて

ちなみに、シャーマンや霊能者にも、カウンセラーと共通する点がいくつか見られます。

シャーマンや霊能者は科学的ではありませんが、科学的な方法によって解決することが難しいと思われる時には、まだまだ現代においても利用されることがあるのではないでしょうか。

科学的ではないということをもっとポピュラーで身近な言い方にすると、神社に参拝にいくようなものです。こういったことは、宗教や神様にさほど興味の無い私であっても、行事の度になんとなく行うものです。

神社への参拝も含めて、現代に生きる私達一般の人間も、何か困った時についつい心の中で神様に祈る事があります。

「どうか、なんとかなりますように」と。

そして、実際になんとかなった時、神様のおかげと思うか、単に自分の努力による結果であると思うかは人それぞれです。どちらが本当かは分かりませんね。

シャーマンや霊能者は、神様の言葉を代弁する人です。

心理カウンセラーは、シャーマンや霊能者の現代版みたいな役割も担っています。しかし、もちろんカウンセリングは神の言葉を代弁して伝える場ではありません。

より科学的な考え方が重視されるようになってきた現代においては、霊能力よりもカウンセリングの方がしっくりくる人の方が多数でしょう。

だから私達心理士は、現代に沿うように、出来るだけ科学的な観点も取り入れ、過去の事例検討なども行ってスキルの研鑽にも励んでいます。

カウンセリングの現場では、より現実的な目に見える対話(コミュニケーション)を通して、人の抱える複雑な問題の解決が目指されます。

しかし、心理カウンセリングは完全な科学でもないと個人的には思います。

そこには、芸術的な側面もあれば、オカルト的な側面もあり、より一般的なコミュニケーションの延長のような側面もあれば、やはり事実に基づいた科学的な側面も見られます。
*認知行動療法などは、特に科学的な側面を重視した心理療法ですね

科学的でないと言うことを言い換えれば、「原因と結果」の関係性に必ずしもこだわらないということです。

心理カウンセリングでは、「ああすればこうなる」「こうすればああなる」という因果論的な考え方だけを持ち込むことはありません。

なぜなら、「ああしてもこうならなかった」「こうしたのにああならなかった」など、人の悩みというものはとうてい因果論だけでは説明が出来ないものだからです。

世の中には分からないことがたくさんあります。科学は、分からないものを分かるように説明するためのものですが、カウンセリングでは
「科学的なものも良し、さりとて非科学的なものも良し」という態度がとられます。
曖昧なものも良しとし、どちらにも傾きます。

だから、カウンセリングは色々なことと誤解されやすいのだと思います。

その分、「カウンセリングとは何か」を理解することは難しく、説明するのも難しいということになります。

まだまだ日本においてカウンセリングが浸透していない(少なくとも私はそう思っています)のは、こういったわかりにくさがカウンセリングにはあるからだと思っています。

私達心理士は、1人でも多くの人がカウンセリングを受ける機会を持つことが出来るように、カウンセリングとは何かを腑に落ちるように説明することが求められています。

【参考コラム】

カウンセリングとは何か?

カウンセラーに話すことの意味

心の病が治るとはどういうことか?

カウンセリングを初めて受けた人のほとんどが

「今日は初めてのカウンセリングで、実はずっと不安だったんです」「来る前は緊張していました」

と語られます。

不安や緊張の多くは「分からない」というところから出てきます。

今後も、カウンセリングという分からないものが少しでも分かるように、定期的にコラムなどで意見を発信していきたいと思います。

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