双極性障害~Ⅰ型・Ⅱ型~

コラム

躁と軽躁の違い

躁・軽躁状態は、

以下に示す「躁病・軽躁病エピソードの診断基準」の

基本症状である「高揚・もしくは怒りっぽい気分、加えて活力が増加した状態」が存在することが前提です。

残りの7つの診断基準の内、3~4つ以上の状態が見られる場合において、

●これらの状態が4日以上1週間未満で続いた場合は軽躁病エピソード

●これらの状態が1週間以上続いた場合は躁病エピソード

と判断されます。

つまり、基本症状を含めた躁的な状態がより長い期間続くかどうかによって、

「躁病エピソード」か「軽躁病エピソード」かを判断することになります。

躁病・軽躁病エピソードの診断基準

  • 高揚・もしくは怒りっぽい気分、加えて活力が増加した状態(基本症状)
  • 自尊心の肥大、または誇大
  • 睡眠欲求の減少
  • 普段より多弁であるか、喋り続けようとする切迫感
  • いくつものアイディアが次々と浮かんでくる体験
  • 注意散漫
  • 目的を伴う活動の増加、または焦っている様子
  • 困った結果に繋がる可能性が高い活動に熱中する

高揚・もしくは怒りっぽい気分、加えて活力が増加した状態(基本症状)

この基本症状は、躁状態であるかどうかを判断する上で最も重要な内容になります。

「高揚・怒りっぽい気分、活力が増加した状態」と言うからには、普段のその人をよく知っている必要があります。

普段のその人と比較して、また、社会一般と比較して、明らかに高揚している、明らかに怒りっぽい、明らかに活力が増加した状態・・・であることを判断することがポイントです。

普段は言わないような攻撃的な発言や、悪意があると捉えられかねない言動をしてしまうことが増えます。

また、躁状態においては自分の状態を客観的に捉えることが難しく、

「自分が今明らかに気分が高揚している」

「明らかに活力が増加している」

と自覚出来ない方も少なくありません。特に、双極性障害の診断をされていない方にとっては、

「これは単に調子が良いだけ」

「これが本当の自分」

と思いやすいでしょう。ですから、周囲の人の方がその異変に気づきやすいのです。

双極性障害と怒りの感情には密接な関係性があります。怒りをコントロール出来ないものと諦めず、周囲の人とも相談して、いかにして躁状態を支障なく乗り切るかを考えていきましょう。

怒りの制御に関するお悩みをお抱えの方はアンガーマネジメントについてのコラムや
感情の90秒ルールについてのコラムも参考にしてみて下さい。

自尊心の肥大、または誇大

自分は何でも出来る

自分は周囲に認められるべき人間で、間違っていることはない

と記述するのは言い過ぎでしょうか。

しかし、こういったある種の自信が急激にわき上がってくる、しかもそこに根拠がないとなると、躁状態と判断されるかもしれません。

根拠や経験の積み重ねがなく、「急に」というのがポイントです。

このような自尊心の肥大・誇大の客観的指標として、「行動」に注目すると良いでしょう。

普段やらなかったような行動、目立つ行動、普段のその人であれば自信が持てなくて移せなかったような行動を、簡単にしてしまう場合には注意が必要です。

多くの場合、自尊心が誇大化した状態での活動は、他者との軋轢を生じさせます。トラブルの元になりやすく、後々大きく自信を喪失することになりかねません。

睡眠欲求の減少

双極性障害にとって睡眠は様々な意味で重要なファクターです。

「睡眠欲求の減少」は、双極性障害の人が「躁転した」あるいは「躁転しつつある」ことのお知らせと捉えても良いでしょう。

例えば、普段は7~8時頃に起きている人が、

特に理由も用事も無く、4~5時に目が覚め、早朝から掃除をしたり、仕事をしたり、運動をしたりする・・・。

こういった傾向が見られる場合には注意しましょう。

普段より多弁であるか、喋り続けようとする切迫感

普段のその人と比較して、明らかにお喋りになり、相手の反応を待たずに話し続けるという変化を示す人がいます。

他の症状と同様に、躁状態の程度が重い人ほど、多弁であるという自覚も薄い傾向があるように思われます。

この多弁さは、次に紹介する「アイディアが次々と浮かんでくる」という症状とも関連があります。

思考が普段よりも活性化され、連想が連なりやすく、話したい事も自然と増えていってしまいます。

自分が多弁であることに気づく事が出来ず、また、気づいても止められない場合には特に注意が必要です。

いくつものアイディアが次々と浮かんでくる体験

思考が活発になり、色々なアイディアが次々と浮かんできます。

一見すると素晴らしい状態にも思えますが、自分の意思と無関係に様々なアイディアが浮かんでくることは、しばしば苦痛にも感じられます。

この症状のもう一つ怖い特徴は、次々浮かんでくるアイディアをすべて実行したくなることがあるという点です。

アイディアが浮かび続け、それらを全て実行しようと、カレンダーが真っ黒になっていたら、かなり注意が必要と言えるでしょう。

躁状態が落ち着いた頃には、予定していたことを処理できなくなって、予定のキャンセルをたくさんして、人間関係にも歪みが生じる人も少なくありません。

この症状に対しては、出来るだけ周囲の人が本人の障害について知っておくことが重要です。どういうことかと言うと、躁状態に突入している人から約束の連絡が来たら、上手に断ったり、約束を受領しないような工夫が必要であるということです。

注意散漫

躁状態の人は、自ら「調子が良い」「頭が良く回転する」「行動するのに疲れない」と美点を挙げることが多いです。

しかし、主観的な調子の良さとは裏腹に、細かい点を見逃したり、不注意が目立つこともあります。

これは、躁状態が決して万能ではなく、超人のようになる事ではないことを示しています。

目的を伴う活動の増加、または焦っている様子

まるで、うつ状態の時に何も出来なかった自分を取り戻すかのように、

目的を持った活動の量が増加します。

一例として、

●「~月までに○○㎏やせる!!」

●「仕事に役立つ複数の資格を~月までに取得する!!」

といったものです。

目的をもつこと自体は素晴らしいことですが、躁状態においては、その目的があまりにも高い目標であったり、急だったりすることがしばしばあります。

また、躁状態の期間が過ぎ去ると、目的を達成できずに終わってしまうことも多いです。長期的には、目標を達成できなかったことが自信の喪失を招き、更なる躁状態で自信を取り戻そうとする悪循環にもはまりやすくなってしまいます。

一時的ではなく、継続的に達成可能な目的かどうかを注意してみる必要があります。

困った結果に繋がる可能性が高い活動に熱中する

躁状態における行動の変化は、大きく「量的変化」と「質的変化」に分けることが出来ます。

困った結果に繋がる可能性が高い活動は、この「質的変化」に該当します。

一例を挙げると、

●借金をして家や車、ブランド品などの高価な買物をする

●急に思い立って海外に旅行をしにいく

といったものです。

これらの行動はたいていの場合は「急」に思われ、周囲の人を心配させるものであります。

ただし、その人がかなりのお金持ちであり、生来的に行動家で、常に意欲的に様々な場所を行ったり来たりしている人であれば、普段とのギャップはそれほど感じないでしょう。
この場合には、果たしてこれらの行動が
「困った結果に繋がるのかどうか」
「普段のその人の活動と質的に異なっているのかどうか」
を考察して、躁状態の判断は慎重に行う必要があります。

躁状態の判断には、多かれ少なかれ、「自己理解」と「他者からの行動観察」が必要と言えるでしょう。

双極性障害の種類

躁病エピソードが認められるかどうか、もしくは軽躁病エピソードが認められるかどうかによって、

双極性「Ⅰ型」もしくは「Ⅱ型」に分類されます。

躁症状+うつ症状=双極性Ⅰ型

軽躁症状+うつ症状=双極性Ⅱ型

よくある誤解・疑問として、

躁エピソードではなく、軽躁エピソードが認められるⅡ型の方が、Ⅰ型よりも

「「楽」で「生きやすい」のではないか?」と思われる方もいますが、

一概にそのように言い切ることは出来ません。

そもそも、躁状態の症状の呈し方も人によって異なりますし、Ⅰ型とⅡ型ではうつ状態の期間の長さや重さが異なります。

何が楽で、何が生きやすいのかは、双極性障害に限らず、人それぞれです。

エピソードの長さ以外のポイント

Ⅰ型であるかⅡ型であるかを見立てる上で、

先ほどの躁エピソードの期間の長さ意外にも注目するべきポイントがあります。

それは、

双極性障害の症状による入院歴があるかどうか

です。

双極性Ⅰ型であれば、その症状の激しさ、日常生活上の支障の大きさから、

何らかのきっかけで過去に入院している履歴があることが決して少なくはありません。

動画での解説

双極性障害を見分けるポイントについて以下の動画でも解説をしています。

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引用・参考文献

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