感情労働とは何か
感情労働は、
「仕事上の必要に応じて、自分の感情をコントロールしなければ務まらない仕事」
関谷大輝(著) 『あなたの仕事、感情労働ですよね?』 花伝社、2016年
と定義されています。
感情労働は肉体労働と頭脳労働に加えて、労働の大部分を占めるものであり、
特に現代の労働においては、暗黙の了解として求められているものでもあると考えられます。
肉体を使った労働、頭脳を使った労働は何となくイメージ出来ますが、
「感情を使った労働」と言うとまだまだあまり馴染みがないかもしれません。
しかし、特に現代社会においてはこのような感情を使った労働が強いられており、
私達は私達自身も気づかないうちに感情労働をしていると考えられます。
本コラムにおいては感情労働の功罪について私なりに述べていきたいと思います。
自分の体験談から思う感情労働
私自身は過去に警備員の仕事をしていたことがあります(といっても約1年間と短いです)が、
この仕事にも感情労働の要素が含まれています。
警備員は感情労働であると同時に、肉体労働でもあります。頭脳労働の側面はそこまで大きくないかもしれません。
警備員の仕事は、配置される現場によって大きく異なりますが、見た目以上に結構ハードです。
施設外の警備なら、夏は暑くて冬は寒いです(当たり前のことですが)。
何より最もキツいと感じたのは同じ場所に何時間もずっと立ち続けることでした。
平和な日本、、、大きな事件・事故はそうそう起きませんし、
結局は「受け付け係」みたいな仕事が大半でした。
要するに、お客さんのご案内をする仕事です。挨拶をして、身分証をチェックして、必要とあれば、施設内に入る前に書類の記入をお願いしたりします。
無愛想な対応をする警備員も中にはいますが、大体はニコニコした対応をするように心がけます。
お客さんが嫌な思いをしないようにするためであることはもちろんですが、
下手な態度をとろうものなら苦情が入ります。
「○○の場所にいた●●という警備員の態度が悪かった。注意しておいてくれ」とか、
夜間の警備では「警備員が寝ている」などの苦情も結構あります。
どんなに体調が悪くても、辛い気候にさらされても、眠くても、、、
お客さんが来たら無理にでも笑顔を作って、はきはきと受け答えをすることが求められる。
スマイルを作る😀
これが感情労働ですね。
こう書くと大体の仕事が感情労働に当てはまりますが、実際にその通りだと思います。
感情労働は至る所にあります。
特に現代においては、SNS等を通して情報が気軽に行き来するようになっています。
働く側は常にお客様のことをこれまで以上に気にしていないと、いつ仕事がなくなってもおかしくない、、、といっても過言ではありません。
こういった時代背景も重なり、
肉体労働であれ、頭脳労働であれ、感情労働が求められる量と質が異なるだけで、
全く感情をコントロールする必要の無い仕事など無いはずです。
ちなみに、、、心理カウンセラーは感情労働か?
当然、心理カウンセラーも感情労働に含まれますが、実はそうでもない側面もみられます。
最初から不機嫌なカウンセラーなどは論外ですが、
必ずしもいつもニコニコしているだけがカウンセラーではありません。
カウンセリングにおいては自己開示が重要な役割を果たします。
ただ単に笑顔を取り繕うだけでなく、生身の人間としての感情を表現することも、時にカウンセリングでは治療的に働くことがあります。
カウンセリングに相談に来て下さるクライアントも同様で、普段外の世界では感情労働を強いられて疲れていても、カウンセリングでは堂々と暗い顔をすることが出来ます。怒っても良いですし泣いてもいいわけです。
取り繕わなくても良い場所としてカウンセリングが機能するので、
やはり今日の感情労働が求められる社会において、カウンセリングは必要な場であると実感します。
感情労働をすることに慣れてしまっていないか??
私自身は体格こそ良くないものの、心理カウンセラーの仕事をする前は結構肉体労働をしてきました。
過去に漁師の仕事をしたこともその一つですが、
私は性格的に、どんな仕事にも感情労働を持ち込んでしまう傾向が強かったように思います。
例えば、一緒に働いている漁師の人の顔色を伺って、自分の感情をどのようにコントロールするのかを常に考えていたり。。。
でも、長年漁師をやってきているベテラン漁師さん達はどこか振る舞い方が私とは違っていました。
共通しているのは「過度に取り繕わないこと」だったと思います。
要するに、自然体ということです。
そしてその自然体が、妙に格好良いんです。

当時の私はどうしてもその自然体が出来なくて悩んでいました。
タバコを吸いながら黙々と、、、誰にどう見られるかなんて気にしていません。遠くを見ながら力いっぱい働く漁師の人の姿は、まさに、感情労働のない、古き良き働く人の姿であったと思います。
漁師の人が自然体で、多少ぶっきらぼうなところがあっても全然変ではありません。
肉体労働をしている人をみて、私はかっこいいなと思うことが多いのですが、おそらくそれは、彼らが感情労働の奴隷になっていないからだろうと思います。
感情労働はなぜ疲れるのか?
結論から言えば、「取り繕うから」疲れるのです。
自然体から離れれれば離れるほど、それは疲れます。
仕事というのは疲れるものですし、その対価としてお金を頂けるという側面もあるので、取り繕うことも一時的な我慢と割り切って働いている人が大多数です。
そして私自身もその一人ですが、あまりにも取り繕いすぎて、本来の自分の自然な姿を見失ってしまったら本末転倒です。
長く仕事を続けるためにも、取り繕うことは良いことだが、「取り繕い過ぎていないか?」と自分で自分に問うことは有意義です。
引用・参考文献
・関谷大輝(著) 『あなたの仕事、感情労働ですよね?』 花伝社、2016年
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